いきいきレポート JA愛媛たいき管内で農業を営んでいらっしゃる方々からへのインタビューをレポート形式でご紹介していきます。
   ■最新レポート

動いたら動いた分だけ 結果につながるのが農業





富有柿収穫の様子
内子町大瀬 丸見 精二 さん 美鈴さん 義則さん 満子さん  


 秋果物を代表する「柿」。県内最大の産地である内子町で柿栽培をされている丸見精二さん・美鈴さん・義則さん・満子さんご家族。季節外れの台風が通過した11月に取材に訪れました。精二さんは、会社勤めをされた後、38歳のときに父親の義則さんの後を継ぎ就農。会社勤めをされていた時「いずれは父親の農業を守ると思っていた」と当時の事を思い出されていました。富有柿を中心に柿栽培をされている丸見さんご家族は3.3haの広い圃場で年間6万キロの柿を出荷する柿一筋の専業農家です。圃場には樹齢100年にもなる柿の木もあるそうです。精二さんに農業の良さを尋ねてみたところ、「動いたら、動いた分だけ結果につながるのが農業の良さ。怠けてると病気になったり、害虫被害にあってしまうからね」とのこと。しかし、昨今の天候不順には苦労されているみたいで、毎年何らかの被害がでているそうです。今年は3月の低温被害に始まり猛暑による高温障害などで、収穫量は7割くらいにしかならないようです。「天候に左右される仕事なので、この異常気象は恐ろしい思いがする。秋らしい秋がなくなったみたいだよ」と精二さんは話されました。これから挑戦していきたい事を尋ねてみると、「まずは現状を維持することが大事。それと太秋をもっとつくりたい」そうです。柿の市場価格が安いため、早生品種を多く取り入れて、商品出荷の間隔を開けないように工夫をしている丸見さんご家族。市場で高価格で取引がされる早生品種をうまく栽培することが柿農家の要を握っているかもしれないと考えられています。しかし、太秋柿は栽培が難しいそうで、安定供給がまだまだできる品種ではないみたいです。12月に入れば袋掛け栽培をしている富有柿の出荷が始まります。袋掛け栽培は、袋で果実を覆うことで、果実に傷が付きにくく、病害虫防除・農薬の軽減にもなり、完熟の状態で収穫でき、見た目も味も良い柿に仕上がります。丸見さん家族の忙しい日々はまだまだ続きます。

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ゆっくりと自分達のペースで





キウイ出荷前最終確認
長浜町今坊 松田 紘一さん 千歳さん  


9月下旬。朝の涼しさに季節の変わり目を感じる頃、長浜町今坊でキウイフルーツ11aを中心に、露地みかんや米などを栽培している松田紘一さん、千歳さんご夫婦を訪ねました。取材に訪れた時、収穫を間近に迎えたキウイフルーツがずらりと実をつけていました。就農されて5年目になる紘一さん。それまでは会社勤めをしながら、休日に農業のお手伝いをされていました。「見よう、見真似で初めてもう5年。でも、まだまだ納得のいくようなものができないね」と話されます。農業の良さを尋ねてみたところ、会社勤めの頃にはできなかった、誰にも束縛されることなく、自分のペースで仕事ができる事だそうで、時にはのんびり、時には多忙に過ごしているそうです。「キウイ作りは少しわかってきたくらい」と話される紘一さんに難しさを聞くと「剪定や摘果が難しい。まだ、勉強中だよ」と話されました。紘一さんのご趣味を尋ねると、千歳さんが「魚釣りですよ」と教えてくださいました。自分の船で沖にでて、狙うは大物。サワラやハマチ等、今まで釣り上げたビックサイズは数えきれないそうです。紘一さんは「山の仕事で朝早いのは苦手。だけど、釣りなら朝一番でも大丈夫。釣れだすと毎日でも行きたくなるから厄介だな」と笑顔で話されました。最近は忙しいのでなかなか魚釣りには行けないそうで、「この時期なら太刀魚も釣れるのに」と残念そうでした。千歳さんのご趣味はお友達とおいしいものを食べてカラオケに行く事だそうです。キウイ収穫の最盛期の11月には68歳になる紘一さん。これからの目標について松田さんご夫婦は「ゆっくりと自分達のペースで楽しみながら農業に励みたい」と話されました。甘いおいしいキウイの収穫まであと少しです。
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自然が相手 簡単なようで難しい






大洲市上須戒 青木 信善さん  


大洲市内から約10キロ程度入った山間部に上須戒観光梨園があります。昭和63年に9戸の生産者が大洲市で初めての観光梨園を開園しました。経営の安定化を図るとともに、消費者ニーズに対応した高品質で安全な果実の生産に励み、今年で23年目を迎えました。その観光梨園の生産組合の組合長を務められている青木信善さんは、組合長2期目を務めておられます。信善さんは就農して4年目。お勤め時代は兼業で農業をされており、仕事と農業との両立が大変だったそうですが、今は農業に専念でき時間を自由に使えるので、以前よりは体が楽になったそうです。農業でのご苦労などをお聞きすると、天気には苦労させられるそうです。今年は遅霜が発生したせいで、受粉時期になってもミツバチがあまり飛ばなかったりしたので、いつもの年よりは不作だったそうです。「病気や害虫などは、肥料や農薬、またいろいろ勉強すれば、なんとかできる事があるけれど、天気だけはどうしようもありません。農業は自然が相手なので、簡単なようで難しいです」とおっしゃいました。信善さんに「上須戒の梨は糖度も高く瑞々しいのですが、なにか栽培方法に秘訣のようなものはあるのですか」と尋ねてみたところ、「特にこれと言ってはありません。土地柄なのかも」だそうですが、果実に袋がけはせず、直接日光に当てて栽培している梨は袋がけしているものよりも味が良いそうで、無袋での栽培が秘訣かもしれないそうです。消費者から「去年食べておいしかったので、今年も注文したい」というような電話があると、とてもうれしく、一人でも多くの方に上須戒の梨を知ってもらい消費者に喜ばれる「おいしい梨」作りを目指していきたいとがんばっておられます。信善さん達上須戒生産者組合は、上須戒梨のブランド化ということで品質にバラツキが出ないよう定期的に研修会を行い意識統一とさらなる高品質化を図っていくべく、みんなで努力して消費者に信頼される「産地づくり」に勤めていきたいと考えています。
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明るく元気な内助の功が必要です





イチゴの苗わけ作業のお手伝い
大洲市菅田 藤田 隆幸さん タエ子さん     


トマト作りの篤農家である、大洲市菅田町の藤田隆幸さん・タエ子さん夫妻はハウス20aでトマト・キュウリを中心に栽培し、露地ではトウモロコシ・白菜・ケール・イモなど1ha栽培されています。エコファーマーの認証を受け、「エコラブトマト」という愛称でブランド化されているトマト。藤田さんが栽培されている品種は「麗容」で、「軟化玉が少なく、棚持ちがいい。収量・品質ともに良いものができる品種です」と話されます。トマト栽培はマルハナバチの利用による自然受粉(自然着果)を行って、労力の削減や、減農薬にも取り組んでおり、また地元畜産農家の堆肥導入による土づくりを実施し、高品質なトマト栽培を行っています。養蚕農家から、トマト栽培に変更した藤田さん。「最初はピーマントマトといわれるくらいのモノしか作ることができなかった。10年くらいしてまずまずのモノが作れはじめたよ」と話されます。台風等の自然災害により2回のハウス倒壊、度重なる水害にあうなど苦労も多かったそうです。現在は農業の新しい楽しみ方として、4組の農家と共同でハクサイとシソをつくっており、「日頃からお互いの仕事も手伝ったり、また、仕事以外の余暇も一緒に楽しむ」関係だそうです。相互扶助ではないが、助け合いながら安心して農業ができる環境をつくっておられます。タエ子さんは「女性が元気でなきゃ農業はできないよね」と話されると「お母さん方が元気じゃないとね。内助の功が必要だよ」と隆幸さんは笑いながらうなずきます。お二人の趣味は旅行だそうで、昨年は長年の夢であった海外旅行にも行くことができ、自然の雄大な景色を目に焼き付けてきたそうです。
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みかん作り農業一筋





温室みかん収穫作業
長浜町櫛生 田中 利徳さん  


大洲市長浜町櫛生で温室ミカンを栽培している田中利徳さん。13.5aのハウスで年間6tの温室ミカンを出荷されています。田中さんが温室みかんを始められたのは平成3年頃から。「10年間ぐらいは利益はでなかった」と話される田中さん。失敗も色々あった様ですが、「一度失敗しなければ、わからないことが多い。失敗して勉強する」と話されました。農業をしていて大変なことや、難しいことをお聞きすると「自然は難しい。自分で研究し、技術は身に付いていくが、自然には敵わない。どんな農業でも天気は重要だから、天気予報は大事」だそうです。特に海に面している為、風が強く吹くこともあるようで、「幸い大きな天災がないから、こうしてみかん栽培をやれている」と話されました。農業のおもしろさをお聞きすると「おもしろいとは違うが、自分が動いたら動いただけの事につながる」と話されます。ハウス作業はやはり大変で、急な斜面にハウスを作り、室温が高いハウスの中で、枝つり、玉つり、摘果などの作業をしたり、おいしく甘いみかんを育てるのは、かなり大変です。「ハウスは誰でもできる。といわれるが、経験があっても、なかなか難しい。ハウスは神経を使うから、誰まりはようできん」と話されました。「手のすいた時などは海も近いので釣りなどするのですか」と尋ねると「みかんづくり、農業一筋だよ」と、みかんづくりが趣味のようなものだそうです。ハウスの他にも露地みかん、米づくりをされています。また、櫛生公民館の館長もされており、毎日ご多忙のご様子です。取材中、採れたてみかんをいただきましたが、酸味の少ない、甘くておいしいみかんでした。JA愛媛たいき温室みかん部会は、田中さんを含む6名で構成されており、関東・松山市場に出荷するほか、たいき産直市「愛たい菜」でも販売しております。高糖度で舌触りのよいみかんを是非ご賞味ください。
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農業は試行錯誤で日々勉強





ナスの誘引作業
大洲市蔵川 久保 直美さん 仁美さん  


蔵川地区でコシヒカリと夏秋ナスを栽培している就農2年目の久保直美さん、仁美さんご夫妻。農業を始めたきっかけは、結婚。香川県で会社勤めをしていた直実さんは結婚を機に、仁美さんの実家で農業をやってみたいという気持ちで、蔵川に引越してきました。会社勤めをしていた頃は、農業とは別世界の技術系の会社で半導体を作っていた事もあったようです。直美さんは「色々な事を経験して農業に就いたので、その時々の経験が今の農業でも活かされていますよ」と話されました。1年目の農業経験でのご苦労をお聞きすると、「1年目は全く体力がついていかなかった。陽に当たるだけで、体力がうばわれてきつかった」と話され、今年は、冬の時期に基礎体力づくり(ジョギングやバレーボール等)をして2年目に臨んでいます。農業は一種のスポーツのようなモノで体力がなくては務まらないそうです。仁美さんは「農業はスポーツジム等に通わなくても、無料で体力作りができる」と笑いながら話されました。 直美さんに会社勤めからの転身で不安はなかったか尋ねると、「今の会社は人件費の安い海外に拠点を移している。リストラ等の不安要素もあるし、将来が安定しているかどうかもわからない。もちろん農業も甘くはないが、専業農家でがんばっている諸先輩方も多いし不安はありません」と話されました。農業で分からないことがあれば、周りの先輩方が先生になって色々教えてくれる恵まれた環境で農業を勉強中。「農業は試行錯誤の連続で、日々勉強です」と話されるお二人に趣味を聞くと、銭湯めぐり(特にサウナ)だそうで、銭湯に行って、サウナでいっぱい汗をかくのが気持ち良くて好きだそうです。「農作業も汗をいっぱいかくから好きなのかも」と冗談交じりで話されました。とても仲の良いお二人。2年目の夏も力を合わせて、陽射に負けないで頑張って納得のいくモノ作りにチャレンジしてもらいたいと取材中、心の中でエールを送っていました。
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